新宿で多摩湖をみた!

かたじけねぇ!

気づけば11ヶ月ぶりという更新である。かたじけねぇ!



新宿ピカデリー京アニの「たまこラブストーリー」みてきたのですが、せっかくなのでこの気持ちを残しておこうと感想ともレビューともいえないそれっぽい文章を書きます。



ストーリーについてはネタバレも何もないだろーというくらい普通の幼なじみの初恋を正面から描いた作品なのでだいたい予告の通り。

予告編

ロングPV

なんで360pなん…




内容は大きく分けると「モチゾウがたまこに告白する」前半と「告白を受けてたまこが返事をする」後半、みたいな感じ。それ以外のエピソードはほとんどなし。話の大筋としてはすごく短くて単純なのだけど、それぞれの「告白する」と「返事をする」をめちゃめちゃ掘り下げて描いてる。

ボカシを多用する映像の技術、京アニ林檎、拾った石とまんじゅうと母親の関係、レコード屋のコーヒーうんぬん、他もろもろの解釈とかむつかしい話はプロ()のレビューに腐るほど出てくるのでどうぞそちらをご覧くださいませ。




僕は素人なので素人なりに素直に感じた(良かった)ポイントを書き残しておこうと思います。



①モチゾウとたまこの目線あるある

前半モチゾウがたまこを、後半たまこがモチゾウを”ついみてしまう”描写の対比がすごく理解できて共感しました。たぶん恋愛のあるある的な要素で誰でも経験あると思うのですけど、この単純な日常の目線というか心を表す視線をここまでしっかりと丁寧に描く恋愛作品って(特にアニメーションで)過去に記憶になかったのですぐに共感できたし「あー山田監督すごいなー」と一番思ったポイントでした。

告白するまでのモチゾウはいつも以上に意識してついたまこをみてしまう。たまこはそれに気づかずいつも通りに振舞っている。告白してからは気まずい雰囲気もあり自重気味に。

告白されたたまこはそれまでモチゾウがしていた”ついみてしまう”行動をはじめてとるようになる。相手を意識してはじめて”ついみてしまう”という無意識の行動がでるのがよくわかる。


ちなみに常盤みどり(みどちゃん)はその両者の行動に敏感でどっちにも気づいてましたね。近い立場の第三者にバレバレなのはリアルでも一緒かと。

余談ですがみどちゃんは無意識下で”たまこのことが好き”で良いのか、はっきりわからずじまいでした。まーけっとの時はモチゾウのことが好きなのでは?と思わせるようなミスリードを誘うお話がありましたけど、このあたりは思春期特有の同性愛とはまた異なる友達以上恋人未満的なモヤモヤした気持ちだと解釈しています。違ってたらすみません。



②かたじけねぇ!

告白された直後に動揺して口から出たたまこの回答ですけど、さすが変態餅女というか普通じゃない感じがとてもわかりやすくて印象深いです。

べらんめぇ口調で場を濁し、ずぶ濡れのままレレレのおじさんばりにダッシュしたあと、商店街を通って家に走って戻るシーンがあるのですけど、その時の背景が完全に夢の中のようなピンク色で、商店街のみんなからのいつもとおりの声掛けが遠くに聞こえる演出になっていて、平常心を失いながらも”どうしよう””でも嫌とかじゃない”をとても強く表現しているわかりやすくて良いシーンでした。



③恋は盲目(ラブ伊豆ブラインド)

これはただの勘違いかもしれないのですけど、前半のモチゾウ視点のときはたまこが妙にかわいらしく、後半のたまこ視点のモチゾウはおいおい・・・というくらいイケメンに描かれていたような気がします。もし意図して描き分けていたのならすごいなーアニメならではだなーと。

たまこは全体を通せば高校3年生としては(精神的に実際のところ幼いのですけど)幼く描かれていますが、あんこちゃんや家族の話の時のたまこは妙に女性らしくというか、色っぽい肉感ある大人の女性として描かれていて、母親の回想シーンではこの恋愛をターニングポイントとして「もう親離れしなさい、体はもう大人なのよ、子供も産めるのよ、ぐへぐへへ」的な女の子が子供から母親へと成長していく覚悟と準備をはじめたっていう意味であえてなのかなーと勝手に解釈しておりました。



他にもバトンのシーンとか最後の木登りなんぞや、とかいろいろあるのですけど大筋が単純な話のせいか、いろいろな比喩(暗喩)表現が幾重に折り重なっていてそういうのも退屈させないポイントだと思います。



毒にも薬にもならないと言われるピクサージブリみたいな絵本アニメより、案外リアルに近いアニメなのかもしれません。百聞は一件に如かず。